血管外科

診療・各部門

対象疾患

1) 大動脈瘤などの放置しておくと破裂して命に係わる「動脈拡張」病変
2) 閉塞性動脈硬化症などの血管が詰まってその先の臓器(下肢など)が壊死(えし)する「閉塞・狭窄」病変
3) 下肢静脈瘤
4) 透析患者さんのシャント作成、トラブル対処

当科の特色

1) 専門医による品質の高い診療の提供

上記の疾患は、治療の時期が遅れたり診断が間違っていたりすると患者さんの予後は大きく変わります。また治療方針は他の科と異なり、同じ病名でも“病変の場所”“病変の範囲”によって全く異なることもよくあります。血管外科医は日本には少なく、病院によっては心臓外科医や循環器内科医のみで対応しているところも多いのが現状です。

2) 多彩な治療手段

血管外科医はバイパスなどのメスをふるう手術以外にも、カテーテルやバルーン(風船)などを使う血管内治療など多くの手段を持っています。カテーテルを使う治療は例えば循環器内科や放射線科の先生の方が得意なこともありますが、重要なのは両方の“武器”を持っているからこそ適切な治療方針を立てやすい、また患者さんに公平な説明をしやすいことです。例えば当院では今後、循環器内科医と相談して、患者さんにより適した治療法を選択したり、一緒に治療をしたりすることができます。

3) 東京大学血管外科との連携

2023年7月より外来で血管疾患患者さんの診察のご依頼を受け付けます。徐々に大きな手術に対応できるよう準備してまいりますが、当面は小手術や血管内治療、適切な投薬や足の処置など、また血管疾患は時として緊急を要することも多いため関連病院への迅速な紹介もいたします。

診療スタッフ

■ 役職
1) 日本血管外科学会 理事
2) 日本脈管学会 理事
3) 日本心臓血管外科学会 評議員
4) 日本静脈学会 評議員
5) 日本リンパ浮腫治療学会 評議員
6) 日本成人病学会 評議員
7) 心臓血管外科専門医認定機構 委員
8) 日本血管外科学会
(ア) 外保連委員会 委員長
(イ) 財務委員会 副委員長
9) 日本脈管学会
(ア) 将来構想委員会 委員長
10) 日本静脈学会
(ア) ガイドライン委員会 委員
11) Peripheral Artery Surgical Meeting 世話人
12) Blood Vessel Club 世話人
13) 日本血管外科学会関東甲信越地方会 世話人
14) 血管外科症例検討会 幹事
15) 日本ステントグラフト実施管理基準委員会(JACSM)データマネージャー
16) 日本リンパ浮腫治療学会 評議員
17) Japan Endovascular Symposium ファカルティー
18) 東京血管外科画像診断治療研究会 世話人
19) 血管外科アカデミー 世話人


診療する主な疾患の解説

対象疾患

腹部大動脈瘤

横隔膜より下の大動脈が病的に太くなる病気です。CTやエコーで偶然発見されることもあります。5㎝以上の径で手術適応とされることが多いですが、嚢状など突出したもの、塞栓を飛ばすもの、拡張速度の高いものなどは適応ですので、随時ご相談ください。

(大動脈瘤切除・人工血管置換術:開腹手術)

図1

(ステントグラフト手術:血管内治療)

図2
その他の動脈瘤(内臓動脈瘤、四肢動脈瘤など)

多くの末梢動脈瘤は、小さい径でも治療対象となることが多いです。特に内臓動脈瘤は破裂すると死亡率が高いことが知られています。

閉塞性動脈硬化症(主に足の虚血です)

下肢の動脈は動脈硬化の進行とともに細くなり(狭窄)、最後には詰まって(閉塞)しまいます。壊死や安静時の痛みがあるものが手術の対象ですが、潰瘍や壊死がある場合には(1)鎮痛薬(2)感染を予防する抗生物質(3)足の消毒や軟膏の処置を行いながら、最終的には【虚血を改善】する治療が必要となります。この疾患を十分に認識していない医師も多く、潰瘍があるからと軟膏を処方されたままどんどん壊死が進行して大切断に到る残念なケースも散見されます。まずは下肢・足部の脈が触知されるかどうかを確認することから始まります。

(治療の例)

図3
バージャー病、大動脈炎症候群(高安病)、膝窩動脈捕捉症候群などの稀な血管疾患

稀な疾患は、治療する側が“知らなければ”正しい治療法にたどり着きません。これは血管疾患かなと思われたらお気軽にご相談ください。

下肢静脈瘤

重症度により、下記のように分類されます。

図4

治療: 現在の治療の主流は弁不全のために血液を送る役割を果たせなくなった伏在静脈(静脈瘤)をレーザーやラジオ波、糊で塞いでしまう方法です。当院でも対応いたします。

(治療法の例)

図4
透析シャント

腎不全患者さんの透析には、シャントが必要であることが多いです。シャントの作成は上肢の動脈と静脈の吻合ですので、まさに血管外科手技の一丁目一番地です。当院では腎臓内科の先生と手分けして、シャントの作成および狭窄に対する血管内治療(VAIVTバイブトといいます)を行っていきます。