婦人科

診療・各部門

診療科からのメッセージ

診療は婦人科腫瘍専門医が行っております。
治療については、ガイドラインを基本にしつつ患者さんのご希望も考慮し、最も適切な医療を提示し実践してまいります。治療方針は病理診断がすべてであるといっても過言ではありません。そのため常日頃から、病理専門医と密接なやり取りを行い、総合的に診断し治療に対応いたします。さらに医療連携・患者相談支援センターと連携し、患者さんの支援を行ってまいります。

対象疾患

  1. 子宮腫瘍
    良性:子宮頚部異形成、子宮頚管ポリープ、子宮内膜ポリープ、子宮筋腫、子宮腺筋症
    悪性:子宮頸がん、子宮内膜がん、子宮肉腫
  2. 卵巣腫瘍
    良性:卵巣嚢腫、卵巣内膜症性嚢胞
    悪性:卵巣がん
  3. 骨盤臓器脱

そのほか、更年期医療、性感染症、骨盤腹膜炎、月経不順、ピル処方、緊急避妊等にも対応しております。

診療スタッフ

医師名専門領域/資格一言コメント
業績等
【部長】
池田 俊一
(いけだ しゅんいち)

1986年 埼玉医科大学医学部卒
<専門領域>
婦人科腫瘍
<資格>
日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医
日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医
日本臨床細胞学会細胞診専門医・教育研修指導医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
ガイドラインを基本にしつつ、患者さんが何を望んでおられるかを考慮して治療方針を決めることが、最も大切と考えています。
【医師】
藤井 えりさ
(ふじい えりさ)

東海大学卒
<専門領域>
婦人科一般
<資格>
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、da Vinci Certified First Assistant(ダヴィンチ認定第一助手資格)
患者さんやご家族の視点に立ち、安心して治療を受けられるよう、努めてまいります。

主たる診療内容と特色

現在の日本は平均初婚年齢が上昇し、晩婚化、未婚化の傾向にあります。晩婚化は晩産化につながります。年齢が高まるとがん発症も高まり、結婚前、結婚直後にがんになる方がおられます。その場合妊娠できるかどうかが大きな問題になります。ひと昔前なら、子宮を残せなかった病状の方も残せる場合が出てきました。
当院でも治療の適応に一致する症例に下記の治療を実施いたします。

  1. 子宮頸がんに対する広汎子宮頚部摘出術
    通常であれば子宮全摘出が必要な子宮頸がんに対し、子宮を残し妊娠の可能性を温存できる手術です。円錐切除で病変を取り切れる大きさに限って実施します。
  2. 子宮内膜がんに対する妊孕性温存療法(MPA療法)
    子宮筋層に浸潤がないと判断した高分化型子宮内膜がんの方にMPAというホルモン剤を使用することは実地医療として行われております。通常6か月使用しがん細胞が完全に消失したかどうか判定し、残存があればtreatment failure(治療失敗)として子宮摘出が勧められます。しかし、我々はがんが6か月間のMPA治療後に消えていなくても、病理プレパラートを自分の眼で確認しMPAの効果が出ている所見があると判断した際にはMPAを継続します。実際、MPAを2年間服用後にがんが消失し、その後妊娠された方もおられます。
  3. 卵巣がんに対する子宮温存を追求した二期的手術
    卵巣がんについては、子宮を残すことが非常に大切な方、挙児希望のある方については、卵巣がんの標準とされている手術中の病理診断は行わず、通常の最終病理診断(パラフィン包埋から作られた病理プレパラートによる診断)が確定してから、がんであった場合には、再度手術を行うという二期的手術を行っています。これは術中の迅速病理診断では子宮を残すことが十分可能な境界悪性腫瘍とがんとの鑑別が難しいからです。摘出してしまったら、あとで子宮が残せたと分かっても、もとに戻すことができません。温存する可能性を最大限にするために、敢えて2回手術を行う方針をとっています。
  4. 経膣的腹腔鏡手術(vNOTES:transvaginal Natural Orifice Transluminal Endoscopic Surgery)
    良性疾患で子宮摘出が必要な場合は、可能な限り膣式子宮全摘術を選択します。臨床試験をくまなく収集し、評価し、分析したコクランレビューからの情報によると、腹腔鏡での子宮摘出術では膀胱や尿管の損傷のリスクが膣式子宮全摘術に比べ高いことから、良性疾患では、膣式子宮摘出(腹腔鏡補助下も含めてですが)を推奨しています。また当院では腹壁に傷が残らず従来の腹腔鏡手術よりさらに低侵襲で、早期社会復帰が可能な経膣的腹腔鏡手術(vNOTES)に取り組んでおります。