手外科疾患について-疾患紹介

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当科の特色

◎手外科診療はお任せください

手根管症候群

(病態)
手首から手のひらの真ん中を走っている正中神経という神経は手首のところで骨のトンネルを通ります。手の使い過ぎなどが影響してこの部分で神経が圧迫されて起こる病気です。

図1

(症状)
親指 人差し指 中指 薬指半分がしびれることが多いです。進行すると親指のつけ根の筋肉が痩せてきます。神経検査を行って診断を確定します。

図2
母指球の筋萎縮

(治療)
内服薬、装具、注射による治療から開始します。効果が少ない場合は神経の圧迫を解除する手術を行います。入院は不要です。

図4
図5
当院での小皮切による手根管開放術

肘部管症候群

(病態)
小指に行く尺骨神経という神経が肘の内側で圧迫されて起こる病気です。原因はさまざまですが、肘の骨軟骨が変形してくることが原因のことが多いです。

(症状)
初期は小指と薬指の一部がしびれます。進行するにしたがい手の筋肉がやせてきて手をつぼめたり開いたりがしにくくなります。更に進行すると小指と薬指が屈曲変形(かぎ爪指変形)を起こします。

図6

(治療)
一時的な圧迫による場合を除いて、常に症状があるような場合は手術によって神経の圧迫しているバンド切ることで症状が改善します。

図7
図8
当院での尺骨神経剥離術

母指CM関節症

(病態)
親指の付け根の関節の軟骨がすり減る病気です。日常動作で良く動かす関節なので、使い過ぎや加齢によって発症します。この部分の脱臼や骨折後に起こることもあります。進行すると亜脱臼してきます。

図9

(症状)
ものをつまむときや瓶のふたを開けるときなど、親指に力が必要な動作で鋭い痛みが出ます。進行すると親指が動きにくくなり、関節の変形が外見からもわかるようになります。

図10

(治療)
装具療法 内服 などの治療から開始します。効果が少なければ関節内への注射や手術を行います。手術は変形した骨を切除して、腱や人工靭帯で関節を作り直す方法と変形した骨同士を固定する方法があります。

図11
図12
当院での手製の装具
図13
当院での人工靭帯と使用した関節形成術
図14
当院でのプレートを使用した関節固定術

Dupuytren(デュピュイトラン)拘縮

(病態)
手のひらの膜が厚くなる病気です。原因は不明です。高齢者や糖尿病のかたに多く見られます。皮膚や腱膜が増殖して固くなります。病気が進むと指が曲がり伸ばしづらくなります。

図15

(症状)
手のひらから指にかけて皮膚にしこりやこぶができ硬くなることから始まります。皮膚が引きつれて指が徐々に伸ばしにくくなります。痛みはあまりありません。薬指や小指からおこることが多いです。足の平にも硬結ができる場合があります。

図16

(治療)
手術で厚くなった腱膜を切除することで指を伸ばすことができます。術後数年で再発する場合があります。

図17
図18
術前
図19
術後

テニス肘(上腕骨外上顆炎)

(病態)
指、手首をそらす腱が付着している肘のところが傷む病気です。テニスをしなくてもおこります。多くの場合は加齢が原因です。

図20

(症状)
ものをつかんで持ち上げるような動作をすると肘の外側から前腕にかけて痛みがでます。安静時の痛みはないことが多いです。

図21

(治療)
運動療法 外用剤 装具 注射により数ヶ月で軽快することが多いですが、難治性の場合は手術を行っています。手術は傷んだ腱付着部を新鮮化して再度、骨に縫着します。

図22
図23
当院での手術 腱付着部の新鮮化と上腕骨へのアンカーの打ち込み
図24
腱付着部の再縫縮

ばね指

(病態)
指を曲げる腱におこる腱鞘炎です。指の使いすぎや加齢によって腱が腫れ、腱鞘が厚くなることでおこります。

図25

(症状)
はじめは指の曲げ伸ばしで手のひらや指の第2関節に痛みが起こります。進行すると指が指の曲げ伸ばしのとき引っかかるようになり、さらに進行すると自力では伸ばせなくなります。指が腫れたり、熱感があったりすることがあります。

図26

(治療)
安静 外用剤による治療から開始します。症状が強い場合や、継続する場合は注射を行います。再発する場合は肥厚した腱鞘を切る手術を行います。入院は不要です。

図27

対象疾患

部位別:手・腕・肩関節、膝・股関節、脊椎(外来のみ)
病態別:外傷(骨折、神経損傷、筋腱損傷など)、変性疾患(変形性(肘・膝・股)関節症、脊椎症、絞扼性神経障害など)、スポーツ外傷・障害、骨粗鬆症

診療体制

7名の日本整形外科学会専門医を中心に、通常・救急診療にあたっております。最新の知識を導入し、エビデンスに基づき、患者様に合わせた最適な治療を選択するよう努めております。手外科、上肢外科の実績が豊富で、以前より多くの診療機関から患者さんをご紹介頂き、精力的に治療してきました。最近ではスポーツ外傷、肩関節疾患、膝関節疾患症例を紹介いただくことも増えております。骨折などの一般外傷、股関節疾患、関節外科などを得意とするスタッフも揃っており、幅広い疾患に対応できる体制を整えております。また、大学病院と密接に連携し、高度先進医療が必要な患者さんは、しかるべき治療機関への紹介も可能です。気軽にご相談ください。

診療実績

<令和4年4月~令和5年3月>
手術 590件
手外科手術(末梢神経手術を含む) 202件
肩関節鏡視下手術 25件
膝関節鏡視下手術(前十字靱帯再建術を含む) 22件
人工関節置換術(股関節 膝関節)19件
大腿骨頚部/転子部骨折 101件
その他 骨折手術等(手外科を除く) 221件